超高齢社会で基礎自治体(市町村、特別区)の重要な仕事の一つが「介護保険事業」です。当然、東京都の23特別区は特別区ごとに介護保険事業を運営しています。ところが、大阪都構想の制度案では、大阪市廃止後に設置される四つの特別区が共同で作る「一部事務組合」が介護保険事業を実施することになっています。
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▼「一部事務組合」って何?
 
一部事務組合とは通称「一組」(いちくみ)と呼ばれ、市町村が単独で処理するのは負担が大きい仕事を共同で行うために設置する「特別地方公共団体」です。例えば、ごみ処理や火葬場など、小さな市町村が独自に行うのは大変な業務を一組で実施しています。
 
一組には議会もあり、加入市町村の議員らが兼務しています。複数の自治体で協力体制が築ける利点の一方で、加入する市町村の意見調整に時間がかかり、迅速な意思決定が難しいという欠点があります。
 
▼どうして介護保険が一組に?
 
大阪都構想で「介護保険事業は一組で運営」となったのは、四つの特別区の介護保険料を一律にするためです。特別区によって保険料に差異があると、保険料が高い特別区の住民から「大阪市の方が良かった」と不満が噴出する恐れがあるからです。
 
しかし、4特別区の共同運営では、各特別区は独自施策に取り組めません。保険料を安くした方がいいのか、その逆で保険料を上げてでも介護サービスを充実させた方がいいのか、特別区間の方針が食い違うと何も決められなくなってしまいます。
 
▼介護保険事業と高齢者施策は表裏一体
 
埼玉県和光市は、高齢者向けに小規模なトレーニングジムやレクリエーション施設をたくさん作り、高齢者の健康維持を後押ししています。元気な高齢者を増やすことで、介護保険の保険料を下げるのが目的です。要介護者が少なければ、介護保険の利用者の負担も、税金の投入も少なくて済むので、和光市はこの施策に取り組んだのです。
 
大阪都構想で誕生する四つの特別区も、区内の高齢化率や将来見通しに沿って高齢者施策を講じなくてはなりませんが、連動している介護保険事業が一組では、高齢者施策と介護保険を一体的に改良、改善していくことができません。


大阪市はワンチーム
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「介護保険事業は一組」としている大阪都構想の制度案は、特別区が将来にわたって高齢者施策で独自性を発揮しづらい状態に縛っているのです。