【大阪都構想の矛盾が凝縮した特別区合同庁舎】
 
大阪都構想の謳い文句の一つが「ニア・イズ・ベター」

人口約270万人の大阪市を四つの特別区に分割するので、人口規模が小さくなり「住民の声が役所に届きやすい」というわけです。
 
ところが、大阪都構想の制度案では、別々の特別区の職員を詰め込んだ「合同庁舎」を作ることに。
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これは特別区設置の目的とは真逆の姿です。

なぜ「ニア・イズ・ベター」の理念は吹っ飛んだのか、その理由は「コスト削減」です。
 
 
▼コスト削減に熱中して本末転倒に
 
大阪都構想は初期コストを何百憶円も削減しました!こんな話を聞いたことありませんか?そうです、自治体再編である大阪都構想はそもそも「金がかかる」のです。
 
大阪市を廃止して設置される四つの特別区は、それぞれ独立した基礎自治体なので、東京都の特別区のように特別区庁舎が必要です。それを建設すれば、何百億円もかかります。
 
そこで究極のコスト削減案として出て来たのが、新庁舎は建設しない「特別区合同庁舎」案

特別区の「新・淀川区」と「新・天王寺区」は、現在の区役所の建物を目いっぱい使っても職員の執務スペースが足りない。

一方、「新・北区」は箱が大きい大阪市役所を持ち、スペースに余裕がある。そこに「新・淀川区」と「新・天王寺区」の“はみ出し職員”を詰め込むのです。
 
 
▼どこに行けばいいのか市民はウロウロ
 
「新・淀川区」の職員は、淀川、此花、港、西淀川、東淀川の現・区役所などにタコ足で配置され、さらに、現・大阪市役所の合同庁舎に878人が配置されます(*1)。本庁職員のうち78%が「隣の特別区にある合同庁舎」にいるのです。「新・天王寺区」の場合も職員は現在の区役所にバラバラになったうえ、本庁職員の49%にあたる583人が特別区合同庁舎に(*1)。
 
これのどこが市民目線の「ニア・イズ・ベター」でしょうか。特別区役所に用事のある市民は、タコ足のうえに合同庁舎となると、どこへ行けばいいのか右往左往です。
 
 
▼廃止される大阪市のトップの見解は!?
 
ちなみに、自治体の庁舎が別の自治体にあるというのは、国内では離島などしか例がないそうです。しかしながら、松井一郎・大阪市長は特別区合同庁舎のメリットをこう説明します。

「(別々の特別区の職員が)同じ場所で仕事をすることによって情報共有できるんです!!」
 
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*1:『特別区制度(案)』コスト-12~15

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